学生の頃の話。
当時、4畳半程のボロアパートで一人暮らししていた俺。
教習所でたまたま知り合った女の子と意気投合し、居酒屋へ行くことになった。
店を出たのは24時過ぎ。
駅に向かうと、彼女の家も最寄り駅行きの最終電車は既に出発した後。
「えー...」
と落胆しているところを、
「俺の家に行かない?」
と誘ってみた。
無論、少しは勝算を感じていた。
だがーー
その子には長年付き合っている彼氏がいて、浮気などとんでもない、と言う。
だが、「絶対に手を出さない」、「寝るのも別」という約束で拝み倒し、なんとか俺の家に行くことになった。
しばらくして部屋に着いた。
その女、たくみと言ったんだが、彼女はすぐに横になった。
「伊藤くん! 絶対にね!」
「変なこと.........しないでね」
最後に彼女は念を押した。
「わかった、わかった。」
こっちも酔っ払っていて、夜も遅いし、その時点ではあまり乗り気では無い。
どちらかと言うと早く寝たかった。
「シャワー...浴びるから..」
と横になった彼女を残し、風呂場に向かう。
5分程後、シャワーから戻ってくると部屋の灯りは点いていたが、たくみはもう壁を向いて寝入っていた。
「おやすみ...」
華奢な背中に少し欲情を覚えたが、約束は約束。
襲いかかって騒がれでもしたら、と諦めて寝た。
ーーーー
少し経ったと思う。
「.....くん...」
「伊藤くん....」
寝入りばなをゆさゆさと揺さぶられた。
薄目を開けると、たくみ。
「ね....ねぇ.....なんか...声が...」
ベッドから降りて、彼女は不安そうな顔をしていた。
耳をすます。
「はぁっ.....はあ.....」
「やっ.....やっ..........いやぁ......」
聞こえるのは隣家の喘ぎ声。
「これ?」
壁を指差してたくみの顔を見た。
「これさぁ....隣の奴が、彼女とさ..」
両手を前に出し、箱を持つような格好。
それを前後に揺らして、暗に伝えた。
「え.......」
「やっ....やだ...」
たくみが口元を押さえた。
その意味を理解したのだろう。
「まあ..俺はいつもの事だから..」
「しばらくしたら、収まるから...」
眠いのもあって、彼女に背中を向けた。
「ぁぁ......いやっ......」
「だめっ.....っぁ....」
隣家からの叫びはより大きく、激しくなっていく。
そしてまた、しばらくして...
「ね...ねぇ......」
再び揺り起こされた。
「何?」
目を開けて聞く。
「伊藤...くん....」
「ん....」
突然キスされた。
そして、そのまま彼女の身体が俺に覆い被さる。
「たくみ...ちゃん...?」
彼女の手が俺のズボンを弄り、撫でた。
「どうした..?」
俺の唇を吸い尽くすたくみ。
「興奮....した?」
そう聞くと、彼女が一度頷いたような気がした。
隣家の喘ぎ声は収まっていた。
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