事件は2017年5月に起きた。
東海地方の私鉄ターミナル駅近くの学生マンションで暴行事件が発生。
被害者は全治2ヶ月の怪我を負った。
その詳細は次の通り。
長谷川和志(仮名)は、ファーストフードでのバイトを終え、原付バイクに乗って自宅へと向かっていた。
途中、長谷川の彼女、斉藤文(ふみ)19歳に電話をし、今から帰ってそのまま寝ると伝えた。
もちろん、長谷川自身その時は本当にそのつもりだった。
だが、途中コンビニエンスストアに寄ったところ、スイーツコーナーに長谷川の彼女、文の好きなマロンケーキが並んでいるのを見つけた。
文に食べさせたいと思った。
彼はそれを購入し、サプライズで文の一人暮らしの自宅に行く事にした。
23:00過ぎ、長谷川は文のマンションの部屋を訪れようとしていた。
長谷川は文から貸与されている合鍵を使ってドアを開けた。
それは彼が文を驚かせたかった為であり、彼女を疑う気持ちなど微塵もなかった。
だから彼は静かに開錠すると、あとは思い切ってドアを開け放った。
彼は視線の先に動く影を認めた。
ーーーーー
斉藤文は、真面目な女学生だった。
親からの仕送りの申し出を断り、自分自身で生活費を工面しようと学業の合間を縫っては喫茶店とコンビニのバイトを掛け持ちしていた。
その日、文は大学の授業が3時限で終わった後、図書館で本を読んでいた。
ゼミの課題発表が近い為、その準備をする為だった。
そこで彼女は青木久也(21歳)と会う。
彼は斉藤と同じ関西出身で、2つ学年が上だった。
文が入学してすぐのオリエンテーションで青木リーダーを務めた事をきっかけに、知り合い、その後何回かの連絡を経て付き合った事があった。
ただ、その付き合いは2ヶ月程で終わりを告げた。
きっかけは青木の留学。
彼がオーストラリアに留学する事になり、準備の慌ただしさの中で自然と双方から疎遠になっていた。
そうした文と青木が出会ったのは、彼が留学から帰ってきて以来初めて。
別れ話を電話でした時以来だった。
「文....」
青木が地下2階の閲覧室で熱心に書籍を読む文を認めて声を掛けた。
文は、懐かしいような、それでいて神経をギョッとさせるような声を聞いて驚きを隠せなかった。
見上げると、浅黒く日焼けした青木の姿。
彼は以前とは少し違った感じを見せていた。
「文....元気?」
青木は文の正面に座り、腕を机の上に放り出して彼女の顔をじっと見た。
「あ...あ....うん....」
文は何て答えて良いか分からず、取り敢えずそう返事はしたが、答えながら、彼の顔を見ながら、「どうしよう」と心配をしていた。
「青木くんも...元気?」
精一杯そう返すと、あとは取り止めの無い話。
文としては、以前の彼との関係を知っている友人達に見られないか、という事を気にしていた。
(もし..話しているところを、和志に見られたら...)
2週間ほど前から付き合い始めた、恋人の嫉妬深さを思いやった。
(和志...)
ーーー
文は、身持ちは硬い方だった。
青木が留学すると言って、関係がギクシャクし出してから、また彼と別れた後でも、月に何度かは男性から誘いを受け、言い寄られていた。
実際に交際を依頼されたのは4度。
青木との破局で少し男性不信になっていた文は、交際には消極的になっていた。
(また....別れたらどうしよう..)
青木と別れた後のつらく苦しい夏休みの様子を思い出した。
だから、男性の甘言に耳を傾けず、コンパなどへの誘いにも乗らず過ごした数ヶ月。
そんな中でようやく「彼こそは」と思う男性が長谷川だった。
彼は同年齢ながら気が利き、自分をリードしてくれた。周りからも信頼されており、彼ならば、と交際する事を受け入れた。
ただ、長谷川の唯一の欠点、それは非常に嫉妬深いところだった。
文が他の男性と会話するだけでも不機嫌になった。
そしてその後は、普段の彼から想像もつかないような荒々しさを見せていた。
(和志...)
文はそうやって、青木と言う元彼と会話しながら周囲を注視していた。
ーーー
青木が言った。
「文...俺さ、お前ん家に忘れ物してさ..」
「後で寄ってもいいかな?」
彼が言ったのは、以前、文の家に行った際にUSBメモリを置いてきた、と言う事だった。
「そんな事なら...今度持ってくるから..」
文は元交際相手を家にあげる事など、許されない、と思い断った。
ただ、青木はそれは今日にでも欲しい。
ちょうど文の事を探していた、と譲らない。
「それなら..」
結局、文は家の前で待つ、部屋の中には入れない、という約束でメモリを渡す事に同意した。
彼女にとって本当にそれまでとするつもりだった。
20:00
文と青木は文のマンションの前にいた。
「ちょっと待ってて.」
文は青木に対して立ち位置までを指定し、部屋には入れない事を念押しした。
「分かった分かった」
青木は、うんうんと頷くと、手を振って文に合図した。
文はその姿を確認して、小走りで部屋に向かう。USBメモリの在り処については青木から事前に聞いていた。
文は部屋の鍵を開けた。
ひんやりとした空気が伝わる中、灯りを点け部屋を見渡した。
「ここね...」
そして青木が指定した戸棚を見たところで
ガチャ
不意にドアが開かれた音がして、後ろを振り向くと人影。
「あ..」
一瞬、過去に青木と交際していた時に彼が部屋を訪れた際の光景がフラッシュバックした。
「やだ..なんで..」
動揺する文を置いて、青木は玄関から普通に入ると、そのまま腰を下ろした。
「いや、なんか..懐かしくてさ」
「すぐ帰るから...ね?」
青木は屈託の無い笑顔を振りまいた。
文はそんな彼に抗議しようかとも思ったが、もう部屋に入ってしまった以上、玄関際で入れる、入れないのやりとりをしたく無かった。
それに、青木がすぐに目的のUSBメモリを手にしたのを見て、「ああ、嘘じゃなかったんだ」と少し安心したのもあった。
「ふぅーん..」
青木は部屋の周囲をジロジロと見ては、自分と交際していた時から変わらないと言った。
文は長谷川と交際している事を話そうかどうしようか迷った。
だが、まだ付き合って2週間。
身体の関係さえ無かったため、部屋には長谷川の痕跡は無く、青木にその事がバレて余計な事になりそうだと思ったのでよした。
そこで、文は紅茶を入れた。
それは青木が好きだったからで、せめて前に付き合っていた以上、何も出さないで帰すのは悪いと思ったから。
飲み終わったのを区切りとし青木も部屋を辞すだろうと考えた。
「ありがとう、優しいね」
青木はポットの湯を入れ始めた文を見てしんみりとそう言い、顔を見た。
「文.....」
そして真剣に文の目を見る。
それは何も言葉に出さなかったが、恋愛感情を思わせるもの。
文にはそれがはっきりと分かった。
だから文はその青木の表情を見て、
「や..やめてよ..私達はもう..」
と彼女としてははっきりとしたつもりで、ただ言葉としては曖昧にそう答えた。
「文.....」
青木は手を伸ばした。
そしてその指先文の手の甲に触れた時、スマホの着信音。
フルルルルッ
それは文のもので、相手は長谷川だった。
「あ....」
文はスマホの画面を見て、それが交際相手の長谷川のものと気付き、身体が固まった。
「あ...」
そして青木の顔を見る。
青木は伸ばしていた手を引っ込め、そして言葉を出した。
「いい..よ..?出て」
文はスマホを手に取り、青木に背を向けて電話に出た。
「はい...うん。今終わり?」
「そう....うん....うん...」
文は出来るだけ会話の内容を青木に悟られないようにしていたが、電話口からは長谷川の高揚した、いかにもな男性の声が漏れた。
青木はそれを認め、文に気付かれないように近づく。
しばらくして..
「やっ....」
文が声を出した。
それは長谷川にも届き、長谷川は「どうした?」と聞いた。
文は自分の背中側から誰が何をしているのか、はっきりと気付いていた。
青木が文の身体を抱きすくめ、その胸と腰のあたりを揉みしだいていた。
「ん.....ん..和志..くん..」
「そう...うん..私も...」
「え...? 」
「うん...好きだよ」
文が長谷川から今の様子と、彼に対しての気持ちを聞かれた時、文は後ろにいる元交際相手の青木の事を気にしながらそれに答えた。
青木はそれを聞きながら、文の衣服の中に手を入れ、直接に胸を揉みしだいた。
膨らみをなぞり、その頂上を潰す。
ぐりぐりと弄り、固くした。
「んっ....んんん...」
文は久しぶりに身体に触れられた感覚に身ぶるいを感じながら、必死で声を出さないように我慢した。
そして長谷川との会話を終えた。
「ね...」
「ちょっと!...ん..」
会話を終えた文が批判めいた視線を送った先にいた青木がその口元をふさいだ。
「ん...っ....っ...」
文は抵抗するも、元々抱きすくめられていた姿勢で身体をよじられ、体重を預けられた。
ほとんど抵抗らしい抵抗も出来ないまま、押し倒された。
「んっ....」
「んーっ..」
舌を吸われ、唇を舐められた。
不用意にも、懐かしさを感じてしまった自分を文は恥じた。
「文...」
長いキスの後、青木は間近くで文を見た。
そして、反対に非難めいた視線を送る。
「彼氏...いんの..?」
真顔で青木はそう言うと、後は強引に文の服を剥ぎ取った。
「やっ...ぁ..やぁ..」
「やめ...」
手慣れたように作業を強引に進めていく青木が、文の下着を全て剥ぎ取ると、文は観念したように抵抗を辞めた。
「ひ...ひどい....」
胸元と股間を手で隠すも、青木が手をどかせて口をつけた。
「文....俺は...俺は...」
ぢゅうぢゅうと、力強く吸い、丹念に舐めあげた。
「やっ...ぁぁ..」
文は久しぶりの感触に、自分でも信じられないくらいに反応してしまい、同時に擦られた感触に、2度、3度の絶頂を迎えた。
「文....ぁぁ...」
いつの間にか下半身を丸出しにした青木が身体を重ねていた。
「文...前の生理は..?」
青木はゴムも着けず、ぐいぐいと身体を押し込むと、文の生理周期を確認した。
「ふ..ふ...2日前....」
文は自分自身に侵入してくる青木自身による鋭い痛みに耐えながらも、正直にそう答えてしまった。
「あ...」
そして、それが青木にとって何を意味するか、答えた後で気付いた。
だが、その時にはもう青木のストロークが始まっていて、やってくる波に押し流されていた。
「はぁっ.....っっぁぁ..」
「ぁぁ..」
入り口と奥が、青木のモノで満たされていた。
ぐいぐいと彼のものを自分でもが締め付けているのがよく分かった。
「ふ..」
「っ...文.....いい....いい..」
青木は、生で挿入している事、文がぎゅうぎゅうと締め付けている事に、耐えきれなくなり、予想以上に早い絶頂を予感した。
先走り液がぴゅっと出たのを感じた後は、やたらに突く。
「あっ....ぁぁ....ぁ...」
「い..いく....」
最後は奥に突っ込んだまま、文の唇を求めた。
文がそれに応え、長谷川の舌を吸った。
「ぁぁ....文...」
長谷川は大変な満足と快感の中で射精した。
どくどくと流れでたのが分かり、前を見ると文も同じように感じているのを知って、互いに笑った。
「文......」
「青木くん...」
そしてしばらく見つめあっていた時、
ガチャ..
足元のドアが開いた。
「!!」
思わずその方向を見ると、人影。
立っていたのは長谷川。
彼は明るい部屋でまぐわっている2人を認めて呆然としていた。
「あ.....あ....」
「ぁっっ...」
文が覆いかぶさっている青木の身体を押しのけ、上半身を起こした。
そして胸元を隠しながら腰を上げようとすると、どろりとした白濁した液が垂れた。
「あ....や...」
「違う...違うの..」
文が必死で弁解しようとした時、長谷川はもう土足で上がり込んでいた。
「てめーーっ...」
そして文を押しのけ、裸のままの青木に馬乗りになり、上からやたらめったらに殴り続けた。
終わり
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